国内最大手の鉄鋼メーカーである日本製鉄が2026年8月6日、名古屋製鉄所(愛知県)で建設を進めてきた 新しい熱延ライン(鋼板を高温で薄く延ばす設備)が竣工したと発表しました。 投資額は約3000億円、生産能力は年間約600万トンという大型設備で、電気自動車(EV)向けなどに 使う高強度な鋼板の生産体制を強化します。

竣工の内容

新しい熱延ラインは、鋼を高温のまま圧延して薄い板に延ばしていく設備で、名古屋製鉄所の敷地内に 新設されました。日本製鉄によると、世界最大級の荷重に耐えられる圧延機を採用し、圧延時の 制御性と温度の制御性を大きく高めたといいます。長年の研究開発の成果を集めた設備だとしています。

今年4月8日にはすでに熱間試運転を開始しており、これまで使ってきた現行の熱延ラインは 2026年度中に休止する予定です。新旧ラインを一定期間並行させながら生産を移行し、 設備更新に伴う出荷への影響を抑える狙いとみられます。

自動車業界向けの狙い

新ラインが主に生産するのは、引張り強さが1.0ギガパスカル以上という超ハイテン鋼板と呼ばれる 高級な薄板です。衝突安全基準の厳格化や環境規制の強化、カーボンニュートラルへの対応が進むなか、 自動車メーカーは車体を軽くしながら強度も保てる鋼板を求めるようになっています。

特に電気自動車は電池を積む分だけ車体が重くなりやすく、走行距離や電池重量の課題を 抱えています。日本製鉄は今回の新ラインで、そうした需要の高まりに応える考えです。 同社は名古屋製鉄所のほか国内複数拠点で自動車向け高級鋼板の生産体制を強化しており、 今回の竣工はその中核を担う投資と位置づけられます。

トレ助

【トレ助のコメント】

3000億円という規模の投資は、名古屋製鉄所にとっても大型の設備投資だ。狙いは鋼板の強さで、 引張り強さ1.0ギガパスカル以上の超ハイテン鋼板は、薄くしても十分な強度を保てるため、 車体を軽くしながら衝突安全性も両立できる素材として自動車メーカーからの需要が伸びている。 世界最大級とうたう圧延機が量産の段階でどんな品質の鋼板を送り出すか、今後が楽しみだね。