1999年、南場智子が立ち上げたネットオークション会社が始まりだった。 モバゲーやプロ野球球団を経て、いまは「ポケポケ」の世界的ヒットでゲーム会社として蘇っている。 2026年、創業者の南場が15年ぶりに社長へ復帰した。

01

創業から現在へ — ストーリー

1999 — 2005
南場智子がディー・エヌ・エーを創業
1999年、南場智子はディー・エヌ・エーを設立しました。社名は遺伝子を意味する「DNA」と電子商取引を意味する「eコマース」を組み合わせた造語で、「eコマースの新しい遺伝子を世の中に広めていく“DNA”でありたい」という思いが込められています。同じ年、オークションサイト「ビッダーズ」を開始し、2005年に東証マザーズ東京証券取引所の上場区分の一つ。2022年の市場再編で、上場企業はプライム・スタンダード・グロースの3区分に分けられた(それ以前は市場第一部・第二部やマザーズと呼ばれていた)。へ上場しました。
2006 — 2010
携帯サイト「モバゲータウン」が急拡大
2006年、携帯電話向けゲーム・コミュニティサイト「モバゲータウン」を開始しました。サービス開始から98日間で会員数50万人を突破し、1日あたり最大3,800万ページビューを集めるサイトに育っています。2009年には課金制のソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」を投入し、翌年には米ngmoco社を子会社化してスマートフォン市場にも進出しました。
2011
南場が退任、守安体制でベイスターズ買収
2011年、南場智子は夫の看病を理由に代表取締役社長を退任し、取締役会長に退きました。後任には守安功が就任しています。同じ年の暮れ、DeNAはTBSホールディングスなどから横浜ベイスターズの株式66.92%を65億円で取得すると発表し、球団名は「横浜DeNAベイスターズ」になりました。
2012
「コンプガチャ」規制で主力事業に急ブレーキ
2012年、複数のカードをそろえるとレアアイテムがもらえる「コンプガチャ」が景品表示法に抵触する可能性があると消費者庁が指摘しました。DeNAはグリーなど計6社とともに、同年のうちにコンプガチャを全廃すると発表しています。ソーシャルゲームの主要な収益源の一つが、規制によって短期間で失われた出来事でした。
2014 — 2017
「WELQ」問題と信頼回復への対応
2014年、DeNAはキュレーションメディア事業のiemo・ペロリを買収しました。2016年、この系列で運営していた医療情報サイト「WELQ」に根拠の薄い記事や著作権侵害の疑いがある記事が多数見つかり、DeNAはWELQを含む複数サイトを非公開にして謝罪会見を開いています。第三者委員会は翌年、複製権侵害の可能性がある記事や薬機法などに抵触しうる記事の存在を報告し、DeNAは代表取締役の複数体制化などの再発防止策を実施しました。
2020 — 2021
ゲーム事業の減損と2度目の社長交代
2020年3月期、DeNAはゲーム事業で511億円の減損保有する工場・設備や、買収でついた「のれん」などの資産価値が下がったとき、目減り分を損失として計上する会計処理。損失を計上し、最終赤字に転落しました。新型コロナウイルスの感染拡大で主力のスポーツ事業の先行きが不透明になる中、2021年、守安功に代わって岡村信悟が社長に就任し、ライブ配信やヘルスケアなど新規事業の育成に力を入れる方針へ転換しています。
2024 — 2026
「ポケポケ」大ヒットと南場の社長復帰
2024年、DeNAはポケモン・クリーチャーズと共同でスマホゲーム「ポケモントレーディングカードゲームポケット(ポケポケ)」を配信開始しました。発売から1ヶ月半で世界累計6,000万ダウンロードを突破し、2025年3月期はゲーム事業の利益が前期比1016.1%増となって全社決算が黒字転換したと報じられています。2026年、この立て直しの流れの中で、創業者の南場智子が15年ぶりに社長兼CEOへ復帰しました。
TEN YEARS

10年で、売上はほぼ横ばい

2,000億円
1,000億円
2017 · · · · · · · · 2026
売上 純利益(手元に残った利益) 赤字だった年
売上
10年前
1,438億円
現在
1,477億円
ほぼ横ばい
純利益
(手元に残った利益)
10年前
308億円
現在
190億円
売上100円につき約13円
従業員
10年前
2,400
現在
2,483
ほぼ横ばい
02

事業の構造 — 何で稼いでいるか

柱 01
ゲーム事業
スマートフォン向けゲームの開発・運営を行う事業です。「SUPER MARIO RUN」「ファイアーエムブレム ヒーローズ」など任天堂IPを使ったタイトルを手がけてきたのに加え、いまはポケモンのカードゲームを題材にしたヒット作が収益の柱になっています。
柱 02
ライブコミュニティ事業
ライブ配信アプリ「Pococha」「IRIAM」を中心とした事業です。配信者(ライバー)と視聴者がリアルタイムで交流する仕組みが特徴です。
柱 03
ヘルスケア・メディカル事業
健康サポートアプリ「kencom」、医療機関向けの遠隔医療コミュニケーションサービス「Join」を提供する子会社「アルム」、遺伝子検査の「DeNAライフサイエンス」などを手がける事業です。自治体・保険組合・医療機関と組み、予防・診療の両面からヘルスケア市場に入り込んでいます。
柱 04
スポーツ・スマートシティ事業
プロ野球「横浜DeNAベイスターズ」の球団経営を軸に、横浜スタジアムの運営やバスケットボールB.LEAGUEとの契約などを展開しています。球団経営で培ったファンビジネスの知見を他競技・他地域にも広げています。
柱 05
新領域・AI事業
AIコンサルティングを担う子会社「DeNA AI Link」や、過去には自動運転・タクシー配車の実証実験にも取り組んできました。次の柱を探す実験の場として、新規事業を継続的に立ち上げています。
03

投資指標

株価
——
東証プライム
前日比
——
——
配当利回り
——
年間予想
PER
——
株価収益率
PBR
——
株価純資産倍率
時価総額
——
円換算
52週高値
——
過去1年
52週安値
——
過去1年

取得中…

投資家の博士

投資家目線のポイント

DeNAは過去にモバゲーやコンプガチャ、いまは「ポケポケ」のように、特定のヒットタイトルへの依存度が高まりやすいゲーム事業の構造を持っています。ヒット作が失速した後の業績の落ち込み方を、過去の局面と比べて見る視点が参考になりそうです。

ゲーム以外にもライブ配信・ヘルスケア・スポーツ・AIと複数の事業を並行して育てている会社です。それぞれの事業がゲーム事業に匹敵する柱に育つかどうかは、今後の決算で事業別の伸び方を追うと見えてきそうです。

「DeNA」という名前——DNAとeコマースを掛け合わせた社名

1999年、南場智子はインターネット企業を立ち上げました。社名の「DeNA」は、遺伝子を意味する「DNA」と電子商取引を意味する「eコマース」を組み合わせた造語です。

「eコマースの新しい遺伝子を世の中に広めていく“DNA”でありたい」という思いが込められていると、DeNA自身は説明しています。同じ年に始めたオークションサイト「ビッダーズ」が、この会社の最初の事業でした。

モバゲータウン、98日で50万人

2006年、DeNAは携帯電話向けのゲーム・コミュニティサイト「モバゲータウン」を始めました。サービス開始からわずか98日間で会員数が50万人を突破し、1日あたり8,000人前後のペースで新規会員が増えていったと、DeNA自身がプレスリリースで発表しています。

最大で1日3,800万ページビューを集めるサイトに育ち、2009年には課金制のソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」を投入しました。オークションサイトから始まった会社が、ゲームとコミュニティの会社へと姿を変えた瞬間でした。

横浜ベイスターズを65億円で買収

2011年の暮れ、DeNAはTBSホールディングスとBS-TBSから、横浜ベイスターズの株式66.92%を65億円で取得すると発表しました。NPBへの保証金などを含めた資金総額は95億円で、球団名は「横浜DeNAベイスターズ」に決まっています。

買収前の球団は、観客動員数が伸び悩み、セ・リーグで4年連続6位という厳しい状況でした。ネット企業が球団経営に乗り出すという当時としては異色の決断が、この年に生まれています。

南場智子、夫の看病のため社長を退任

2011年、南場智子は夫が病気になったことをきっかけに、代表取締役社長を退任しました。記者会見で南場は「社長業は全力投球が求められる職務」であり、「社業を最優先できないのは社員にも申し訳ない」と説明しています。

後任には、日本オラクルを経てシステムエンジニアとしてDeNAに入社し、モバゲータウンの立ち上げに関わった守安功が就任しました。南場は取締役会長として経営に残り、「会社は私の人格と別個に成長してほしい」という言葉を残しています。

「コンプガチャ」規制——主力事業に急ブレーキ

2012年、複数の異なるカードをそろえると特別なアイテムがもらえる「コンプガチャ」という仕組みが、景品表示法に抵触する可能性があると消費者庁が指摘しました。コンプガチャは一部の事業者で売上高の1〜3割を占めるとされる主力の収益源でした。

DeNAはグリーなど計6社とともに、その月のうちにコンプガチャを全廃すると発表しています。ソーシャルゲームの主要な収益源の一つが、規制によって短期間で失われる結果になりました。

「WELQ」問題——医療情報サイトの閉鎖と謝罪

2014年に買収したiemo・ペロリを軸に、DeNAはキュレーションメディア事業を拡大していました。ですが2016年、この系列で運営していた医療情報サイト「WELQ」で、根拠の薄い記事や著作権侵害の疑いがある記事が多数見つかります。

DeNAはWELQを含む複数のサイトを非公開にし、守安功社長と南場智子会長が謝罪会見を開きました。南場は会見で「経営者として不覚です」と述べています。第三者委員会は2017年、複製権侵害の可能性がある記事や、薬機法などへの抵触が疑われる記事の存在を報告しました。

再発防止と守安体制の終わり

WELQ問題を受け、DeNAは代表取締役を1名から2名体制に変更し、コンプライアンス最高責任者を新設するなどの再発防止策を実施しました。守安功社長の報酬は50%・6ヶ月間の減給となっています。

その後、2020年3月期にはゲーム事業で511億円の減損損失を計上し、最終赤字に転落しました。新型コロナウイルスの感染拡大で主力のスポーツ事業の先行きが不透明になる中、2021年、守安に代わって岡村信悟が社長に就任し、ライブ配信やヘルスケアなど新規事業の育成に力を入れる方針へ転換しています。

「ポケポケ」——ポケモンカードのスマホ化が生んだ大ヒット

2024年、DeNAはポケモン・クリーチャーズと共同で、ポケモンカードゲームをスマホ向けにした「ポケモントレーディングカードゲームポケット(ポケポケ)」を配信開始しました。発売から1ヶ月半で世界累計6,000万ダウンロードを突破する異例のヒットとなっています。

ゲーム事業のユーザー消費額は四半期で850億円を超える見通しとなり、2025年3月期はゲーム事業の利益が前期比1016.1%増となって、DeNAの決算は黒字転換しました。カードゲームという既存IPを、スマホという新しい入口で再ヒットさせた出来事でした。

南場智子、15年ぶりの社長復帰

2026年、DeNAは取締役会長の南場智子が代表取締役社長兼CEOに復帰すると発表しました。2011年に夫の看病のために社長を退任してから、15年ぶりの復帰です。

現社長の岡村信悟は代表権のある会長に就きます。DeNAは「経営のスピードを格段に上げ、将来の事業環境を前提とした組織運営・事業モデルへの変革を急ぐ必要がある」と説明しており、創業者自らが変革の先頭に立つ体制が始まっています。