サントリーグループの傘下企業として生まれ、自ら証券取引所に上場した会社。 海外のブランドを次々に買収して版図を広げ、為替や関税の変動に業績が揺れる規模まで育った。 世界で戦う飲料グループの、ここまでの歩みだ。
創業から現在へ — ストーリー
10年で、売上は約1.2倍
(会社に残った利益。現金の増減とは異なります)
事業の構造 — 何で稼いでいるか
投資指標
取得中…
本体でなく新会社——あえて独立を選んだ理由
サントリーの清涼飲料・食品事業は、社名を変えながら歴史を重ねてきました。転機は2009年、持株会社他の会社の株式を保有し、グループ全体の経営管理を担う会社。自らは事業を行わないことが多い。化ではなく、事業だけを切り出した新会社としてサントリー食品が誕生したことです。
本体でなく事業会社として独立させたこの選択が、法人としての出発点になりました。
海外ブランドの取り込み——「オランジーナ」を子会社化した
設立と同じ2009年、サントリー食品はフランス・スペインで長く愛されてきた炭酸飲料「オランジーナ」を展開するオランジーナ・シュウェップス・グループを買収し、子会社化しました。
2012年には日本向けの独自パッケージを開発し、国内での販売を始めています。海外で育ったブランドを日本市場に持ち込む、その後も続く成長パターンの原点になりました。
国も生い立ちもばらばら——ひとつの社名で歩み出した
買収や合弁で積み上げてきた海外の清涼飲料事業は、国も生い立ちもばらばらでした。2011年、社名を「サントリー食品インターナショナル」に変更し、その名の下で海外展開を前面に出す会社になっています。
持株会社でなく子会社——選んだ上場の形
2013年、上場したのは持株会社のサントリーホールディングスではなく、子会社のサントリー食品インターナショナルでした。
初値新規上場した株式が取引所で最初に成立する取引価格。は公開価格を上回る3,120円、時価総額株価に発行済み株式数をかけた金額。企業の大きさを市場の評価額で示す数値。は約9,700億円で、この年最大級の新規株式公開になりました。調達した資金は、東南アジアなどでのM&A企業の合併・買収の総称。他社の株式や事業を取得して一体化すること。に充てる計画でした。当時社長だった鳥井信宏氏は、緑茶飲料の市場シェアがまだ2割にとどまるなど、飲料市場にはまだ伸びしろがあると語っています。
「ルコゼード」「ライビーナ」——英国ブランドを獲得した
上場と同じ年、英グラクソ・スミスクライン(GSK)から、エナジー・スポーツドリンク「ルコゼード」と果汁飲料「ライビーナ」の事業を13億5,000万ポンド(当時の為替で約2,100億円)で取得すると発表しました。
いずれも80年前後の歴史を持つ、戦前から続く老舗ブランドでした。
自販機を丸ごと買収——缶コーヒー「ルーツ」も獲得した
サントリー食品インターナショナルは日本たばこ産業(JT)の飲料自動販売機オペレーター事業子会社を、約1,500億円で取得しました。もとはJTグループが展開していた「ルーツ」や「桃の天然水」といった缶コーヒー・ブランドも、この買収で手に入れています。
自販機の運営会社ジャパンビバレッジホールディングスは、もともとサントリー食品インターナショナルが出資する会社でした。株式を追加取得し、国内の自販機網を一気に広げる一手になりました。
260億円で売却——拡大路線を転換した
買収で取り込んだ海外事業のすべてを、そのまま抱え続けたわけではありません。成長市場と位置づけたフレッシュコーヒー事業はグループに残し、食品事業だけを米クラフト・ハインツへ約260億円で手放しました。
拡大一辺倒ではなく、育てる事業と手放す事業を選び分ける判断も下しています。
為替と関税——アジアの逆風に業績が振れた
売上を伸ばしながら増益とはならなかった裏には、為替や関税、天候といった自分では動かせない要因が重なっています。
アジア各地での消費の落ち込みや天候不順に加え、米国の関税政策でアルミ缶やペプシ原液の調達費用も想定より膨らみました。世界で稼ぐ会社になったことの裏返しとして、海外の事情に業績が振り回される年になっています。
10%の壁へ——ブランド力で次の成長を描いた
関税やアジアの天候に業績が振れた年でも、この舵取りを担うのは代表取締役社長の木村穣介氏です。サントリービバレッジ&フードは中期経営計画で2026年までに営業利益率売上高に対して、本業のもうけ(営業利益)が占める割合を示す指標。10%超を目指す方針を掲げています。「サントリー天然水」「BOSS」「伊右衛門」といった主力ブランドの価値強化を続けながら、コーヒーや茶飲料の展開エリア拡大や、RTD(缶チューハイなど、すぐ飲めるアルコール飲料)といった新しいカテゴリーへの挑戦も進めています。
M&Aや設備増強にも資金を振り向ける方針を示しており、2030年には売上収益のさらなる拡大をめざす長期目標を掲げています。買収で広げてきたブランド群を、今度は自らの成長エンジンとして育てる段階に入っています。
