佐川急便を運営する持株会社他の会社の株式を保有し、グループ全体の経営管理を担う会社。自らは事業を行わないことが多い。、SGホールディングス。 京都で生まれたこの会社は、法人向けの大口配送にこだわり、宅配便の主役ヤマト運輸とは違う道を歩んできた。 アマゾンの配送を自ら手放すという決断が、いまの高い収益力につながっているという見方があります。

01

創業から現在へ — ストーリー

1957 — 1965
自転車2台で始めた運送業
1957年、佐川清は京都で運送業を始めました。最初に運んだ荷物はカメラ10台だったと佐川急便は伝えています。自転車2台を使い、妻と2人で荷物を運んだという逸話も知られています。当時の仕事は、企業向けの小口貨物をまとめて運ぶ特別積合せ事業が中心でした。1965年、事業は法人化され、佐川急便株式会社になりました。
1965 — 1992
法人向け大口配送で拡大、ヤマトとは違う道
法人化後の佐川急便は、通信販売企業や企業間取引を中心に事業を広げ、1973年に売上高100億円、1983年に2,000億円を突破したと伝えられています。同じ時期、ヤマト運輸は1976年に個人向けの「宅急便」を始め、家庭から家庭への小口配送に舵を切っています。佐川急便はこの流れに加わらず、法人向けの大口配送に集中する道を選びました。
1992
「東京佐川急便事件」、創業家が退く
1992年、グループ会社の東京佐川急便が、暴力団の関連企業などに巨額の不正な融資・債務保証をしていたことが発覚しました。この資金は政界にも流れ、政治家への献金問題に発展しています。創業者の佐川清は会長を退き、佐川急便は約8,000億円の有利子負債を抱えることになったと報じられています(不正融資・負債の総額は資料により記載に幅があります)。
1998 — 2006
個人向け宅配便への参入と、持株会社への再建
創業家の退任後、佐川急便は1998年に個人向けの宅配便サービスを始めました(現在、国内宅配便のシェアはヤマト運輸に次ぐ業界2位とされています)。経営を引き継いだ栗和田榮一のもとでは各地に散らばっていた法人の統合が進み、2006年、純粋持株会社としてSGホールディングスが設立されています。特殊な会社という見方を変え、「普通の会社」にする狙いがあったと報じられています。
2013
アマゾンの配送から手を引く
2013年、佐川急便はアマゾン・ジャパンの配送から撤退したと報じられています。取扱個数は半年で前年同期比11%減少し、そのうちアマゾン分だけで約3,000万個を占めたと伝えられています。値上げ交渉がまとまらなかったことが理由と報じられており、佐川急便は数量よりも運賃単価の維持を優先する判断をしたとみられます。
2012 — 2022
海外物流の買収を重ねながら、東証に上場
SGホールディングスは2012年にシンガポール拠点の統括会社を設立し、翌年にはシンガポールの物流会社の株式90%を取得しました。2014年にはスリランカの物流大手エクスポランカを買収するなど、上場前から海外展開を進めていました。2017年、東証一部東京証券取引所の上場区分の一つ。2022年の市場再編で、上場企業はプライム・スタンダード・グロースの3区分に分けられた(それ以前は市場第一部・第二部やマザーズと呼ばれていた)。に上場しました。創業から60年を経ての株式公開だったと報じられています。2022年の東証市場区分の見直しにともない、東証プライム東京証券取引所の上場区分の一つ。2022年の市場再編で、上場企業はプライム・スタンダード・グロースの3区分に分けられた(それ以前は市場第一部・第二部やマザーズと呼ばれていた)。市場へ移行しています。
2020 — 2026
上場後も続く海外M&Aと、増収増益の決算
上場後もSGホールディングスは海外物流会社の買収を続けました。2020年に上海の物流会社、2024年にC&Fロジホールディングス、2025年にモリソン・エクスプレスを相次いでグループに加えています。こうした海外拠点は現在「グローバル物流事業」という区分に含まれています。2026年3月期は、売上高が前年比11.2%増、営業利益が同2.7%増という増収増益の決算になりました。
TEN YEARS

10年で、売上は約1.8倍

2兆円
1兆円
2017 · · · · · · · · 2026
売上 純利益(手元に残った利益)
売上
10年前
9,303億円
現在
16,448億円
約1.8倍に増加
純利益
(手元に残った利益)
10年前
285億円
現在
591億円
売上100円につき約4円
従業員
10年前
45,194
現在
60,483
約1.3倍に増加
02

事業の構造 — 何で稼いでいるか

柱 01
宅配便配送(デリバリー事業)
佐川急便が担う国内宅配便事業です。法人向けの大口貨物を中心に築かれた配送網の上に、引っ越しサービスなども展開しており、グループ収益の柱になっています。
柱 02
物流アウトソーシング(ロジスティクス事業)
名糖運輸によるチルド食品の配送や、ヒューテックノオリンによる冷凍・冷蔵輸送など、荷主企業の物流をまとめて請け負う専門輸送事業です。
柱 03
海外物流(グローバル物流事業)
スリランカのエクスポランカやモリソン・エクスプレスなど、買収を重ねてきた海外物流会社群が担う事業です。国際輸送・フォワーディングを通じて、国内の宅配便に依存しない収益源をつくっています。
柱 04
物流施設の開発・賃貸(不動産事業)
SGリアルティなどが手がける、物流センターの開発・賃貸事業です。配送網を支える立地に建てられることが多く、祖業の宅配便事業と結びついた不動産ビジネスになっています。
柱 05
グループの裏方(トータルサポート事業)
車両整備を担うSGモータース、システム開発を担うSGシステムなど、グループ各社の業務を支える事業です。表には出にくいものの、200社を超えるグループ運営を陰で支えているとされています。
03

投資指標

株価
——
東証プライム
前日比
——
——
配当利回り
——
年間予想
PER
——
株価収益率
PBR
——
株価純資産倍率
時価総額
——
円換算
52週高値
——
過去1年
52週安値
——
過去1年

取得中…

投資家の博士

投資家目線のポイント

SGホールディングスは、採算の合わない大口取引を手放す決断をしたことがあります(2013年のアマゾン配送からの撤退)。荷主との値上げ交渉や大口顧客との取引条件の変化は、収益性を読むヒントになりそうです。

近年は海外物流会社の買収を重ねる戦略で事業を広げています。買収した海外拠点をどう一つの会社としてまとめていくかは、この先の事業の見え方に影響しそうです。

「飛脚の精神」——カメラ10台から始まった運送業

1957年、佐川清は京都・大阪間で運送業を始めました。最初に運んだ荷物はカメラ10台だったと佐川急便は伝えています。自転車2台を使い、妻と2人で運んだという逸話も知られています。

ただ荷物を運ぶだけでなく、お客さまの荷物に心を込めて信頼に応える——この「飛脚の精神」を掲げてきたと同社は説明しています。法人の看板になる前の、ごく小さな出発点でした。

法人相手だけを選んだ理由——ヤマトとは違う道

佐川急便は当初から、企業向けの小口貨物をまとめて運ぶ特別積合せ事業が中心でした。通信販売企業や企業間取引の利用が多く、個人客向けの営業所を増やす発想は薄かったと伝えられています。

同じころ、ヤマト運輸は1976年に「宅急便」を始め、家庭から家庭への配送に軸足を移していきました。同じ運送業でも、佐川急便とヤマト運輸は正反対の顧客層を選んでいたことになります。

「東京佐川急便事件」——巨額の不正融資と政界スキャンダル

1992年、グループ会社の東京佐川急便が、暴力団の関連企業などに巨額の不正な融資・債務保証を行っていたことが発覚しました。関連する政治家への献金も問題となり、政界を揺るがす事件に発展しています。

創業者の佐川清は会長を退き、事件のさなかに入退院を繰り返したと伝えられています。佐川急便には約8,000億円の有利子負債が残されたと報じられていますが、不正融資・負債の総額は資料によって記載に幅があります。

8,000億円の借金を抱えて始まった再建

事件のあと経営を引き継いだのは、栗和田榮一でした。2000年、経営権をめぐる社内の対立を制し、主導権を握っています。

栗和田は各地に分かれていた法人を一つにまとめ、2006年、純粋持株会社SGホールディングスを設立しました。特殊な会社と見られがちだった佐川を「普通の会社」にしたい、という思いがあったと報じられています。

「アマゾンを切った」——収益優先の経営判断

2013年、佐川急便はアマゾン・ジャパンの配送業務から撤退したと報じられています。取扱個数はその年の上半期だけで前年同期比11%減少し、アマゾン分だけで約3,000万個の荷物が消えた計算になると伝えられています。

値上げ交渉がまとまらなかったことが理由と報じられています。荷物の量よりも運賃単価を守ることを優先した判断とみられ、当時のSGホールディングス取締役は「2桁減は想定外だった」と述べたと報じられています。

選んだ客で決まった収益力の差

アマゾンの配送を巡っては、ヤマト運輸が主要な受け皿になりました。ですが自社のドライバーだけでは荷物をさばききれず、外部の運送業者への再委託が広がったと指摘されています。

一方の佐川急便は、採算の合わない仕事を手放す道を選びました。その後の比較では、SGホールディングスの営業利益率売上高に対して、本業のもうけ(営業利益)が占める割合を示す指標。がヤマトホールディングスを上回ったとする報道もあります。同じ宅配業でも、選ぶ客によって会社の中身は変わってきます。

創業60年でたどり着いた東証上場

2017年、SGホールディングスは東証一部に上場しました。佐川清が運送業を始めてから、ちょうど60年後の株式公開だったと報じられています

持株会社への移行から上場まで、コンプライアンス体制を整え直す時間が必要だったといえます。2022年の東証市場区分の見直しでは、東証プライム市場へ移行しています。

上場の前後で、海外物流を買い進める

SGホールディングスは、東証上場の前後を通じて海外物流会社の買収を重ねてきました。上場前の2013年にはシンガポールの物流会社、2014年にはスリランカのエクスポランカがグループに加わっています。上場後も買収は続き、2020年に上海の物流会社、2024年にC&Fロジホールディングス、2025年にはモリソン・エクスプレスがグループ入りしました。

2026年3月期には、こうした海外事業を含む「グローバル物流事業」という区分のもとで、売上高・営業利益ともに前年を上回る決算となりました。法人向け配送というルーツから、グループはいまも形を広げ続けています。