佐川急便を運営する持株会社他の会社の株式を保有し、グループ全体の経営管理を担う会社。自らは事業を行わないことが多い。、SGホールディングス。 京都で生まれたこの会社は、法人向けの大口配送にこだわり、宅配便の主役ヤマト運輸とは違う道を歩んできた。 アマゾンの配送を自ら手放すという決断が、いまの高い収益力につながっているという見方があります。
創業から現在へ — ストーリー
10年で、売上は約1.8倍
(手元に残った利益)
事業の構造 — 何で稼いでいるか
投資指標
取得中…
投資家目線のポイント
SGホールディングスは、採算の合わない大口取引を手放す決断をしたことがあります(2013年のアマゾン配送からの撤退)。荷主との値上げ交渉や大口顧客との取引条件の変化は、収益性を読むヒントになりそうです。
近年は海外物流会社の買収を重ねる戦略で事業を広げています。買収した海外拠点をどう一つの会社としてまとめていくかは、この先の事業の見え方に影響しそうです。
「飛脚の精神」——カメラ10台から始まった運送業
1957年、佐川清は京都・大阪間で運送業を始めました。最初に運んだ荷物はカメラ10台だったと佐川急便は伝えています。自転車2台を使い、妻と2人で運んだという逸話も知られています。
ただ荷物を運ぶだけでなく、お客さまの荷物に心を込めて信頼に応える——この「飛脚の精神」を掲げてきたと同社は説明しています。法人の看板になる前の、ごく小さな出発点でした。
法人相手だけを選んだ理由——ヤマトとは違う道
佐川急便は当初から、企業向けの小口貨物をまとめて運ぶ特別積合せ事業が中心でした。通信販売企業や企業間取引の利用が多く、個人客向けの営業所を増やす発想は薄かったと伝えられています。
同じころ、ヤマト運輸は1976年に「宅急便」を始め、家庭から家庭への配送に軸足を移していきました。同じ運送業でも、佐川急便とヤマト運輸は正反対の顧客層を選んでいたことになります。
「東京佐川急便事件」——巨額の不正融資と政界スキャンダル
1992年、グループ会社の東京佐川急便が、暴力団の関連企業などに巨額の不正な融資・債務保証を行っていたことが発覚しました。関連する政治家への献金も問題となり、政界を揺るがす事件に発展しています。
創業者の佐川清は会長を退き、事件のさなかに入退院を繰り返したと伝えられています。佐川急便には約8,000億円の有利子負債が残されたと報じられていますが、不正融資・負債の総額は資料によって記載に幅があります。
8,000億円の借金を抱えて始まった再建
事件のあと経営を引き継いだのは、栗和田榮一でした。2000年、経営権をめぐる社内の対立を制し、主導権を握っています。
栗和田は各地に分かれていた法人を一つにまとめ、2006年、純粋持株会社SGホールディングスを設立しました。特殊な会社と見られがちだった佐川を「普通の会社」にしたい、という思いがあったと報じられています。
「アマゾンを切った」——収益優先の経営判断
2013年、佐川急便はアマゾン・ジャパンの配送業務から撤退したと報じられています。取扱個数はその年の上半期だけで前年同期比11%減少し、アマゾン分だけで約3,000万個の荷物が消えた計算になると伝えられています。
値上げ交渉がまとまらなかったことが理由と報じられています。荷物の量よりも運賃単価を守ることを優先した判断とみられ、当時のSGホールディングス取締役は「2桁減は想定外だった」と述べたと報じられています。
選んだ客で決まった収益力の差
アマゾンの配送を巡っては、ヤマト運輸が主要な受け皿になりました。ですが自社のドライバーだけでは荷物をさばききれず、外部の運送業者への再委託が広がったと指摘されています。
一方の佐川急便は、採算の合わない仕事を手放す道を選びました。その後の比較では、SGホールディングスの営業利益率売上高に対して、本業のもうけ(営業利益)が占める割合を示す指標。がヤマトホールディングスを上回ったとする報道もあります。同じ宅配業でも、選ぶ客によって会社の中身は変わってきます。
創業60年でたどり着いた東証上場
2017年、SGホールディングスは東証一部に上場しました。佐川清が運送業を始めてから、ちょうど60年後の株式公開だったと報じられています。
持株会社への移行から上場まで、コンプライアンス体制を整え直す時間が必要だったといえます。2022年の東証市場区分の見直しでは、東証プライム市場へ移行しています。
上場の前後で、海外物流を買い進める
SGホールディングスは、東証上場の前後を通じて海外物流会社の買収を重ねてきました。上場前の2013年にはシンガポールの物流会社、2014年にはスリランカのエクスポランカがグループに加わっています。上場後も買収は続き、2020年に上海の物流会社、2024年にC&Fロジホールディングス、2025年にはモリソン・エクスプレスがグループ入りしました。
2026年3月期には、こうした海外事業を含む「グローバル物流事業」という区分のもとで、売上高・営業利益ともに前年を上回る決算となりました。法人向け配送というルーツから、グループはいまも形を広げ続けています。
