金融機関と個人のあいだにある情報の差を、SNSで埋めようとした。 上場を果たしたのち、創業者はやがて保有株をすべて手放して去っていった。 会社は、SNSの先にM&A企業の合併・買収の総称。他社の株式や事業を取得して一体化すること。仲介という新しい事業を広げ始めている。
創業から現在へ — ストーリー
事業の構造 — 何で稼いでいるか
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お金の話を、楽しく——情報の差をSNSで埋める
高橋ダニエル圭は、モルガン・スタンレーに入社したのち、ヘッジファンド関連の会社でも金融の世界での経験を積んだと有価証券届出書に記されています。2020年、金融や経済を解説するYouTubeチャンネルを始め、この配信活動が、のちのPostPrimeの土台になりました。
同じ年、高橋は「経済・金融・投資に関するコンテンツに特色を持ち、誰でもお金のことを楽しく学べるプラットフォーム」を掲げてDKT株式会社を設立します。届出書はその狙いを、金融機関と個人のあいだにある「情報の非対称性」を埋めることだと説明しています。専門性の高い金融商品を売る側と買う側のあいだには情報の格差があり、利用者自身の目線で発信されるSNSなら、その格差を解消する助けになる、というのが創業の出発点でした。
レベル4になると——自分の投稿にお金がつく
PostPrimeには、投稿の質を自動で採点する独自の「バッジシステム」があります。他のユーザーからの閲覧数やいいね数だけでなく、投稿した本人がどれだけ他人にいいねやコメントをしたかという行動までデータとして集計し、10段階のレベルを自動で付与する仕組みです。評価が高い投稿ほど、システム上で優先的に表示されます。
このバッジがレベル4に達すると、ユーザーは自分の投稿の一部を有料にする「プライムクリエイター」への申請ができるようになります。過去の投稿内容などの審査を通れば、自分の発信そのものがお金になります。投資の話を読むだけの場所ではなく、良い発信を続けた人に対価がついてくる場所として、PostPrimeは設計されています。
9割近くからゼロへ——創業者は株を手放して去った
PostPrimeが東証グロース東京証券取引所の上場区分の一つ。2022年の市場再編で、上場企業はプライム・スタンダード・グロースの3区分に分けられた(それ以前は市場第一部・第二部やマザーズと呼ばれていた)。市場に上場する前、発行済み株式の79.27%を握っていたのは、高橋ダニエル圭の資産管理会社DAN TAKAHASHI LLCでした。本人個人の保有分(8.81%)と合わせると、創業者側が発行済み株式の9割近くを持ったままの上場だったことが、有価証券届出書からわかります。
会社はこの集中を経営リスクとして自ら開示し、「特定の人物に依存する経営からの脱却」を掲げました。2025年の暮れに浅見直樹が新たにCEOに就任し、代表取締役の交代はその後も続いて、翌年には松島悟が引き継いでいます。高橋の持ち株比率もこの間に少しずつ下がり、サイブリッジ合同会社への譲渡によって、創業者の保有株はゼロになりました。看板だった一人に頼らない会社になれるかどうかが、これから問われていきます。
始めてすぐに撤退——初めての挑戦はすぐに終わった
2025年、PostPrimeは子会社TakaTradeを通じて、金融商品の値動きだけを売買する「商品CFD」取引プラットフォームの提供を始めました。PostPrimeの利用者を新たな取引サービスへつなげ、収益の柱を増やす狙いがありました。
ですが翌年、会社は事業環境や競合状況を精査した結果としてサービスの終了を決めています。約1900万円の損失を見込んだうえで、経営資源をSNS本体と新しい事業に集中させる判断でした。
43万人の使い道——SNSは会社の売買を探す場になる
取引プラットフォーム事業の終了と同じタイミングで、PostPrimeは学習塾や不動産業界向けのM&A仲介を手がけるインフィニティライフを、1億円あまりで完全子会社化ある会社の株式を100%取得し、経営の意思決定権を完全に握ること。しました。
狙いは、投資の話をしに集まったSNS「PostPrime」の約43万人のユーザー基盤を、会社を売りたい人と買いたい人が出会う場所として使うことです。M&A案件を見つけるための入り口へと役割を広げ、上場からわずか2年で、この会社の事業の中身はすでに大きく姿を変えています。
