1869年、石川の薬局から始まった。 兄弟、そして親子でバトンをつなぎ、いま全国1,000店のドラッグストアチェーンに育った。 いまはフード&ドラッグ化を武器に、次の1,000店を目指している。

01

創業から現在へ — ストーリー

1869 — 1985
薬種商「青木二階堂薬局」から、株式会社設立へ
1869年、石川県の青木家は「青木二階堂薬局」を開き、薬種商として商いを始めました。大名らが宿泊した「本陣」を代々務めた家柄だったと報じられています。1985年、この家業を継いだ青木桂生が株式会社クスリのアオキを設立し、翌年、金沢市に第1号店を出しました。調剤中心の薬局から、物販を兼ねるドラッグストアへの転換です。
1985 — 2006
北陸3県での拡大と、イオン・ツルハとの提携
会社設立後、クスリのアオキは富山県、福井県へと出店エリアを広げ、北陸3県で最大規模のドラッグストアに成長しました。単独では大手に見劣りする仕入れ力を補うため、2001年にはイオン系の共同仕入れ連合「ハピコム」に加わります。その後、ツルハやイオンとも業務提携を結び、2006年、東京証券取引所2部に株式を上場しました。
2003 — 2014
兄から弟へ、そして甥へ受け継いだ社長の座
創業者の青木桂生は2003年、社長の座を実弟の青木保外志に譲り、自身は会長に退きました。保外志は在任中に売上高を5倍に伸ばし、2011年には東京証券取引所1部への指定替えを実現したと伝えられています。2014年、社長の座は桂生の長男である青木宏憲に引き継がれました。
2016 — 2018
持株会社化と、500店舗達成
2016年、株式交換で株式会社クスリのアオキホールディングスを設立し、持株会社他の会社の株式を保有し、グループ全体の経営管理を担う会社。自らは事業を行わないことが多い。として東京証券取引所1部に再上場しました。出店のペースはそのまま続き、2018年には500店舗を達成しています。
2020 — 2023
食品スーパーの連続買収と「フード&ドラッグ」化
2020年、スーパーマーケットのナルックスとフクヤを相次いで子会社化し、食品事業に本格参入しました。翌年にはスーパーマルモの食品事業を引き継ぎ、その後も一二三屋やホーマス・キリンヤなど各地のスーパーを次々に取り込んでいます。ドラッグストアに生鮮食品を組み合わせる「フード&ドラッグ」への転換が、ここから加速しました。
2024 — 2025
創業者の逝去と、1,000店舗達成
2024年、創業者の青木桂生が亡くなりました。900店以上を持つチェーンに育てた礎を築いたと報じられています。翌年、千葉県に出した新店舗で1,000店舗を達成し、中期経営計画の目標を1年前倒しで実現しました。
2023 — 2026
物言う株主との対立と、イオンとの提携解消
2023年以降、香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが株主総会のたびに独立社外取締役の選任や取締役の解任などを提案するようになりました。同ファンドの提案は3年連続で否決されています。2026年には、長年の提携先だったイオンが資本業務提携出資を伴いながら、特定の事業で協力関係を結ぶ提携の形態。の解消を通告し、クスリのアオキは東京証券取引所プライム市場からスタンダード市場へと区分を変えました
TEN YEARS

9年で、売上は約2.7倍

6,000億円
3,000億円
2017 · · · · · · · 2025
売上 純利益(手元に残った利益)
売上
9年前
1,887億円
現在
5,015億円
約2.7倍に増加
純利益
(手元に残った利益)
9年前
82億円
現在
178億円
売上100円につき約4円
従業員
9年前
1,770
現在
5,627
約3.2倍に増加
02

事業の構造 — 何で稼いでいるか

柱 01
ドラッグストア事業(医薬品・調剤)
医薬品やOTC医薬品、化粧品、日用品を扱う近隣型の店舗網です。店舗に薬局を併設して処方箋を受け付ける調剤サービスの比率を高めており、これが成長の柱になっています。
柱 02
食品スーパー事業(フード&ドラッグ)
買収した地場スーパーの生鮮食品を、ドラッグストアの店舗フォーマットに組み込む事業です。日用品と食品を1つの店舗でまとめて買える「ワンストップ」の需要を取り込みます。
柱 03
プライベートブランドとEDLP戦略
特売の告知に頼らず、年間を通じて低価格を保つ「毎日安い」価格戦略と、自社ブランド商品の開発を組み合わせています。
柱 04
出店エリア拡大とドミナント戦略
石川県を中心に、北陸から関東・近畿・東北・四国へと出店エリアを広げてきました。近年は新規エリアの開拓よりも、限られた商圏に集中して出店する「ドミナント化」へと重心を移しています。
03

投資指標

株価
——
東証プライム
前日比
——
——
配当利回り
——
年間予想
PER
——
株価収益率
PBR
——
株価純資産倍率
時価総額
——
円換算
52週高値
——
過去1年
52週安値
——
過去1年

取得中…

投資家の博士

投資家目線のポイント

香港の投資ファンドが株式を保有し、取締役の解任などを繰り返し株主提案しています。株主総会での賛否や創業家の持ち株比率の変化は、今後の経営体制を占ううえで見ておきたいポイントです。

ドラッグストアと食品スーパーを組み合わせる「フード&ドラッグ」化は、買収した各地のスーパーをどう1つの仕組みにまとめられるかが鍵になります。生鮮食品は薬や日用品より値引きや廃棄のコストが変わりやすい点も、事業構造の変化として押さえておきたいところです。

「本陣」を代々務めた家系が、薬局を開くまで

青木家は、大名らが宿泊した「本陣」を代々務めた旧家だったと報じられています。2024年に亡くなった創業者の青木桂生は、この家系の15代目にあたります。

1869年、家業として営んでいたのが「青木二階堂薬局」でした。薬種商として調剤を中心に商いを続け、青木家は100年以上にわたって地域の医薬品を扱い続けてきました。この蓄積が、のちのドラッグストア創業の土台になっています。

兄弟で興し、兄弟でつないだ経営

1985年にクスリのアオキを設立したのは、青木桂生と実弟の保外志でした。保外志は薬科大学を出た薬剤師で、家業の薬局で監査役を務めたのち、新会社では専務として経営に加わっています。

2003年、桂生は社長の座を弟の保外志に譲り、自身は会長に退きました。保外志は在任中に売上高を5倍に伸ばし、2011年には東京証券取引所1部への指定替えを実現したと伝えられています。

「専務」から「社長」へ――甥が継いだバトン

2014年、社長の座は保外志から、桂生の長男である青木宏憲に引き継がれました。宏憲は大塚製薬を経て2003年にクスリのアオキへ入社し、管理部門や営業部門を歴任したうえでの就任です。

会社を興した世代から、その次の世代へ。経営のバトンは、兄弟の間で、そして伯父から甥へと、家族の中で受け渡されてきました。宏憲が社長に就いてからの10年余りで、店舗数は300店から1,000店へと大きく伸びています

400坪型店舗と「フード&ドラッグ」への転換

2004年、白山市に売場面積400坪を超える大型店を出し、調剤と食品を1つの店舗に収めるフォーマットへ転換しました。従来の300坪型より広い売場が、のちの生鮮食品導入を可能にしています。

この土台の上に、2020年以降は各地のスーパーマーケットを次々に買収していきました。ナルックスやフクヤの子会社化を皮切りに、一二三屋やホーマス・キリンヤなど地場スーパーの生鮮食品と店舗運営力を取り込み、ドラッグストアと食品を組み合わせた新しい業態を作り上げています。

太陽光発電の書類偽造で受けた行政処分

クスリのアオキは2022年、二酸化炭素排出量の削減と電気代高騰対策を目的に、社内横断組織「太陽光プロジェクト」を立ち上げました。翌年の夏ごろまでに、約300店舗の屋根に太陽光パネルを設置しています。

ところが2025年、経済産業省資源エネルギー庁から行政処分を受けました。再生可能エネルギーの固定価格買取制度再生可能エネルギーで発電した電気を、あらかじめ決めた価格で一定期間買い取ることを国が電力会社に義務づける制度。申請書類を偽造・変造していたことが理由です。5店舗が制度の認定を取り消され、会社は認定申請業務の改善とコンプライアンス教育の強化という再発防止策を講じたとしています。

有償ストックオプションを巡る、物言う株主との対立

青木宏憲社長と実弟の孝憲副社長は、以前に発行された有償ストックオプション会社の株式をあらかじめ決めた価格で取得できる権利。役員・社員への報酬として発行されることが多い。(自社株を一定価格で買う権利)を行使しました。この結果、2人の持ち株比率は上昇し、既存株主の持ち分は薄まっています

香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは、このストックオプションの発行価格が不当に安く、ガバナンスをゆがめたと主張し、2023年以降、株主総会のたびに独立社外取締役の選任や取締役の解任などを株主提案してきました。クスリのアオキ側は「過大な損害を与えた事実はない」と反論しています。オアシスの提案は、2025年まで3年連続で否決されました。

イオンとの提携解消と、東証プライムからの市場変更

クスリのアオキは2003年からイオンと資本業務提携を結び、共同仕入れ連合「ハピコム」に加わってきました。しかし2026年、イオンはこの提携を解約すると通知します。イオン側は取締役の派遣中止も発表し、「アオキの株主として、アオキの経営陣に対し、株主共同の利益に資する経営を求める」との考えを示しました。

同じころ、クスリのアオキは東京証券取引所のプライム市場からスタンダード市場への区分変更と、名古屋証券取引所メイン市場への新規上場を申請しています。会社側は、中長期的な成長や経営効率を優先し、より適切な市場区分のもとで企業価値向上に取り組むためとしています。市場区分の変更は2026年に実現しています。

1,000店舗という、前倒しの目標到達

中期経営計画「ビジョン2026」で掲げた売上高の目標を、クスリのアオキは1年前倒しで達成しました。2025年には、千葉県の新店舗で店舗数1,000店の大台にも到達しています。

青木宏憲社長は、これまで数値目標ありきで「力任せ」に押し切るところもあったとしたうえで、今後は3つの重点施策を推進するなかで「お客さまに支持された結果」として目標を達成したいと語っています。フード&ドラッグへの転換、調剤併設率の引き上げ、そしてドミナント化という3つの施策の先に見えてきた到達点でした。