ガンプラや「たまごっち」を生んだバンダイと、パックマンを生んだナムコ。 2005年、経営統合でひとつになり、バンダイナムコホールディングスが誕生した。 ガンダムのような、手放さずに育て続けるIPを軸に、いまも世界に挑んでいる。
創業から現在へ — ストーリー
10年で、売上は約2.2倍
(手元に残った利益)
事業の構造 — 何で稼いでいるか
投資指標
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投資家目線のポイント
バンダイナムコの強みは、「ガンダム」のような手放さずに育て続けるIPを、玩具・ゲーム・映像など複数の事業で同時に展開できることです。裏を返せば、看板IPの人気の浮き沈みが複数のセグメントに同時に響きやすい構造でもあります。
「ELDEN RING」やハリウッドでのガンダム実写映画化のように、海外展開の比重は年々高まっています。海外の景気や為替の動きが業績に与える影響も、これまで以上に大きくなっていきそうです。
「パックマン」——女性も夢中にさせた発明
1980年、ナムコの岩谷徹は新しいアーケードゲームの企画に取りかかっていました。当時のゲームセンターは男性向けのシューティングゲームが中心で、岩谷は女性やカップルにも遊んでもらえるゲームを作りたいと考えていたと伝えられています。
完成した「パックマン」は、迷路を舞台にキャラクターが逃げ回るという当時としては新しい発想のゲームでした。発売から7年間で約29万台を売り上げ、2005年には「最も成功した業務用ゲーム機」としてギネス世界記録に認定されています。ナムコの名を世界に広めた一台になりました。
ガンプラ、1個300円から始まった
1980年、バンダイは前年に取得したガンダムのプラモデル化権をもとに「1/144 ガンダム」を発売しました。価格は1個300円、パーツ数48点の白一色というシンプルな製品でしたが、テレビアニメの放送終了後もファンの熱は冷めず、翌年から売り上げが急増します。
設計を手がけた村松正敏は、足首の角度を工夫して立ち姿に迫力を出すなど、随所に工夫を凝らしたと伝えられています。ガンダムのプラモデルは、その後45年以上にわたりバンダイのトイホビー事業を支える看板商品に育ちました。
「ピピン」から幻の「セガバンダイ」へ——1990年代の挑戦と撤退
1996年、バンダイは米アップルと共同で家庭用マルチメディア機「ピピン・アットマーク」を発売しました。49,800円という価格や専用ソフトの不足が響き、50万台を製造しながら世界での出荷は4万2千台にとどまったと伝えられています。開発を担った子会社は翌々年に解散し、損失は260億円規模に達しました。
同じ1997年、セガとバンダイは経営統合を発表します。セガサターンの不振と、ピピンでの損失という互いの弱みが引き寄せた組み合わせでした。ですが企業文化の違いを埋められず、統合はわずか4カ月で解消されています。バンダイが本当に噛み合う相手にたどり着くには、もう8年待つ必要がありました。
たまごっち旋風と模倣品——特別損失、そして復活
1996年に発売された携帯型育成玩具「たまごっち」は、発売から1年足らずで1,000万個を売り上げる社会現象となりました。人気の過熱は模倣品の氾濫も招き、バンダイは不正競争防止法にもとづき複数の業者を提訴しています。
ブームが去ると、メーカー在庫の処分で1999年3月期に60億円の特別損失を計上しました。ですが、バンダイはここで終わりませんでした。2004年に「かえってきたたまごっちプラス」を発売し、2007年までに3,000万個を超える販売を記録して、ブランドを立て直しています。
一本のゲームソフトが結んだ縁——バンダイナムコホールディングスの誕生
2004年、バンダイとナムコはプレイステーション2向けソフト「機動戦士ガンダム 一年戦争」を共同開発しました。この過程で、外注に頼りがちだったバンダイの開発力と、海外アミューズメント網に強いナムコの販路が噛み合うことが確認されたと伝えられています。
2005年、両社は経営統合し、株式会社バンダイナムコホールディングスが発足しました。統合比率はナムコ株1株に対し新会社株1株、バンダイ株1株に対し1.5株と、バンダイにやや有利な条件でまとまっています。初代社長にはバンダイ出身の髙須武男が就きました。
統合後初の赤字——リーマン・ショックと構造改革
2010年3月期、バンダイナムコHDは経営統合後で初めての赤字に転落しました。当期純損失は299億円。家庭用ゲームソフトの新作92タイトルのうち約半数が採算割れとなったことや、のれん企業買収の際、買収先の純資産額を上回って支払った金額を計上する無形の資産項目。の減損保有する工場・設備や、買収でついた「のれん」などの資産価値が下がったとき、目減り分を損失として計上する会計処理。などが響いたと報じられています。
当時社長を務めていたナムコ出身の石川祝男は、アミューズメント施設の閉鎖や人員体制の見直しを進めました。翌2011年3月期には営業利益が8倍以上に回復し、純利益も黒字に戻っています。統合から数年で訪れた最初の試練を、構造改革で立て直した形です。
サンライズとガンダムを一つに——フィルムワークスの設立
2022年、バンダイナムコHDはアニメ制作会社サンライズの映像事業を吸収分割し、映像制作会社を新たに設立しました。ガンダムシリーズの映像制作と著作権管理を一つの会社に集約する狙いがあったと説明されています。
同じ年、バンダイナムコHDは東京証券取引所プライム市場に移行しました。映像・権利ビジネスを一本化した体制は、のちのハリウッドでのガンダム実写映画化交渉にもつながっていきます。
BANDAI SPIRITS誕生——大人向け市場への本気
2018年、バンダイナムコHDはバンダイのハイターゲット向け事業とバンプレストの景品事業を集約し、大人のファン向け商品を専業で手がける新会社を設立しました。
翌2019年3月期の売上高・営業利益は過去最高を更新しました。トイホビー事業の裾野を、大人の市場にまで広げた再編でした。
ELDEN RINGとガンダム、世界へ
2022年に発売された「ELDEN RING」は、フロム・ソフトウェアと共同開発したアクションRPGです。世界累計出荷本数は2,000万本を突破し、その後発売したDLCやスピンオフ作品も相次いで版を重ねています。
2025年、バンダイナムコフィルムワークスは米レジェンダリー・ピクチャーズと共同投資契約を結び、「機動戦士ガンダム」シリーズ初となる実写映画化が決まりました。「萬代屋」から始まった会社は、いまやハリウッドの映画スタジオと肩を並べる立場になっています。
