ドラッグストアなのに、鮮魚や青果が並んでいる。 石川県の一軒の薬局を出発点に、兄弟から親子へとバトンをつなぎながら全国1,000店の規模に育った。 生鮮食品を強みに、次の1,000店を目指している。

01

創業から現在へ — ストーリー

1869
薬種商「青木二階堂薬局」を創業
家業として薬局を創業。調剤中心の商いから、のちに物販を兼ねるドラッグストアへ転換した。
1985
東京証券取引所2部へ上場
富山県・福井県へ出店エリアを広げ、北陸3県で最大規模のドラッグストアに成長。共同仕入れ連合やツルハ・イオンとの提携を経て、東京証券取引所2部に上場した。
2003
社長の座を実弟・保外志へ
創業者の青木桂生は社長の座を実弟の保外志に譲り、会長に退いた。その後、社長の座は桂生の長男である宏憲に引き継がれている。
2016
持株会社体制へ移行
持株会社他の会社の株式を保有し、グループ全体の経営管理を担う会社。自らは事業を行わないことが多い。化し、東京証券取引所1部に再上場。出店を重ね、500店舗を達成している。
2020
食品スーパーの連続買収と「フード&ドラッグ」化
食品スーパーを相次いで子会社化し、食品事業へ本格参入。各地のスーパーを取り込み、生鮮食品を組み合わせる新業態への転換を加速させた。
2023
香港ファンドが株主提案
香港ファンドの株主提案は3年連続で否決。創業者の逝去やイオンとの提携解消を経て、2025年に千葉県で1,000店舗を達成した。
TEN YEARS

9年で、売上は約2.7倍

6,000億円
3,000億円
2016 · · · · · · · 2024
売上 純利益(会社に残った利益)
売上
9年前
1,887億円
↓
現在
5,015億円
約2.7倍に増加
純利益
(会社に残った利益。現金の増減とは異なります)
9年前
82億円
↓
現在
178億円
売上100円につき約4円
従業員
9年前
1,770人
↓
現在
5,627人
約3.2倍に増加
02

事業の構造 — 何で稼いでいるか

柱 01
調剤ドラッグストア
医薬品や化粧品を扱う店舗に薬局を併設し、調剤サービスを強化しています。
柱 02
フード&ドラッグ事業
買収した地場スーパーの生鮮食品を、店舗に組み込む事業です。
柱 03
自社ブランド戦略
特売に頼らず低価格を保つ「毎日安い」戦略と、自社ブランド開発を組み合わせます。
柱 04
ドミナント出店戦略
北陸から全国へ出店エリアを広げ、商圏を絞る「ドミナント化」を進めています。
03

投資指標

株価
——
東証プライム
前日比
——
——
配当利回り
——
年間予想
PER
——
株価収益率
PBR
——
株価純資産倍率
時価総額
——
円換算
52週高値
——
過去1年
52週安値
——
過去1年

取得中…

「本陣」の家系——15代・100年、医薬を守り継いだ

青木家は、加賀藩の大名らが宿泊した「本陣」を代々務めた旧家だったと報じられています。石川県白山市の出身で、2024年に亡くなった創業者の青木桂生は、この家系の15代目にあたります。

大名を迎える格式ある家が、薬種商「青木二階堂薬局」として100年以上にわたり地域の医薬を担ってきました。桂生が生まれ育ったのは、そうした旧家の当主としての立場でした。

大塚製薬から戻った長男——伯父が譲った社長の座

1985年にクスリのアオキを設立したのは、青木桂生と実弟の保外志でした。経営のかじ取りは、まず兄の桂生から弟の保外志へと移ります。

2014年、社長の座は保外志から、桂生の長男である青木宏憲に引き継がれました。宏憲は大塚製薬を経てクスリのアオキへ入社し、管理部門や営業部門を歴任したうえでの就任です。

会社を興した世代から、その次の世代へ。経営のバトンは、兄弟の間で、そして伯父から甥へと、家族の中で受け渡されてきました。宏憲が社長に就いた2年後に300店、その9年後には1,000店の大台に達しています。

400坪型店舗——生鮮食品を組み込んだ新業態を作った

2004年、白山市に売場面積400坪を超える大型店を出し、調剤と食品を1つの店舗に収めるフォーマットへ転換しました。従来の300坪型より広い売場が、のちの生鮮食品導入を可能にしています。

この土台の上に、2020年以降は各地のスーパーマーケットを次々に買収していきました。ナルックスやフクヤの子会社化を皮切りに、一二三屋やホーマス・キリンヤなど地場スーパーの生鮮食品と店舗運営力を取り込み、ドラッグストアと食品を組み合わせた新しい業態を作り上げています。

太陽光パネル300店舗——書類偽造で受けた行政処分

クスリのアオキは2022年、二酸化炭素排出量の削減と電気代高騰対策を目的に、社内横断組織「太陽光プロジェクト」を立ち上げました。翌年の夏ごろまでに、約300店舗の屋根に太陽光パネルを設置しています。

ところが2025年、経済産業省資源エネルギー庁から行政処分を受けました。再生可能エネルギーの固定価格買取制度再生可能エネルギーで発電した電気を、あらかじめ決めた価格で一定期間買い取ることを国が電力会社に義務づける制度。の申請書類を偽造・変造していたことが理由です。5店舗が制度の認定を取り消され、会社は認定申請業務の改善とコンプライアンス教育の強化という再発防止策を講じたとしています。

社長と弟の持ち株が増えた——3年続いた株主提案

青木宏憲社長と実弟の孝憲副社長は、以前に発行された有償ストックオプション会社の株式をあらかじめ決めた価格で取得できる権利。役員・社員への報酬として発行されることが多い。(自社株を一定価格で買う権利)を行使しました。この結果、2人の持ち株比率は上昇し、既存株主の持ち分は薄まっています。

香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは、このストックオプションの発行価格が不当に安く、ガバナンスをゆがめたと主張し、2023年以降、株主総会のたびに独立社外取締役の選任や取締役の解任などを株主提案してきました。クスリのアオキ側は「過大な損害を与えた事実はない」と反論しています。オアシスの提案は、2025年まで3年連続で否決されました。

イオンが下した決断——東証プライムから移った

クスリのアオキは長年イオンと資本業務提携出資を伴いながら、特定の事業で協力関係を結ぶ提携の形態。を結び、共同仕入れ連合「ハピコム」に加わってきました。しかし2026年、イオンはこの提携を解約すると通知します。イオン側は取締役の派遣中止も発表し、「アオキの株主として、アオキの経営陣に対し、株主共同の利益に資する経営を求める」との考えを示しました。

同じころ、クスリのアオキは東京証券取引所のプライム市場からスタンダード市場への区分変更と、名古屋証券取引所メイン市場への新規上場を申請しています。会社側は、中長期的な成長や経営効率を優先し、より適切な市場区分のもとで企業価値向上に取り組むためとしています。市場区分の変更は、その後実現しています。

1,000店舗という大台——前倒しで届いた目標

中期経営計画「ビジョン2026」で掲げた売上高の目標を、クスリのアオキは1年前倒しで達成しました。2025年には、千葉県の新店舗で店舗数1,000店の大台にも到達しています。

青木宏憲社長は、これまで数値目標ありきで「力任せ」に押し切るところもあったとしたうえで、3つの重点施策を推進するなかで「お客さまに支持された結果」として目標を達成したいと語っています。フード&ドラッグへの転換、調剤併設率の引き上げ、そしてドミナント化という3つの施策の先に見えてきた到達点でした。